競輪コラム

KEIRINグランプリ2021 松浦悠士選手に帝王・山田裕仁氏がインタビュー!

KEIRINグランプリ2021に出場する松浦悠士選手。帝王・山田裕仁氏がグランプリにかける思いや心境をインタビューしました!


山田:まずは、今年もグランプリ出場おめでとうございます! 3年連続で、これで通算3回目の出場になるね。

松浦:ありがとうございます。そうですね、個人的には「そろそろかな」とは思っているんですが(笑)。

山田:何が「そろそろ」なのかは聞かずともわかるけど、選手のなかには十何回も出場しているのに、獲れていない人もいるからね(笑)。さて、意気込みなどは後からお聞きするとして……まずは、今年ここまでを振り返ってもらおうかな。前半戦は松浦くん自身も、かなりいい結果を残せたと感じてるんじゃない?

松浦:前半戦に関していえば、できすぎだと自分でも思うくらいですね。

山田:5月には、周囲にハッキリ「獲りたい」と宣言していたダービー(GI・日本選手権競輪)で優勝して。有言実行で特別競輪を勝つというのは、なかなかできないことだよね。これはもう、お見事と言うしかないですよ。

松浦:それに、念願のダービーを獲れただけではなく、その前後で出場したGIIIで優勝できたのもうれしかったですね。武雄記念、ダービー、函館記念、全プロ記念と、4つ連勝できたのかな。それもあって、前半戦は本当に充実していました。文句なしですね。

山田:その勢いのままに、7月には函館のサマーナイトフェスティバル(GII)でもしっかり優勝して。これもダービーと同じく、清水くん(清水裕友選手)の後ろで勝負して優勝したんだったよね。

松浦:そうですね、ハイ。

山田:清水くんとは本当に相性抜群というか……ゴールデンコンビの名は伊達じゃないと、改めて感じましたよ。でも、後半戦になって少し勢いが落ちたというか、あまり調子がよさそうには見えなかったというか。でも、松浦くん自身は「調子は悪くない」って、ずっとコメントしていたんだよね。

松浦:実際、身体の状態は悪くなかったんですよ。調子がいいと感じる瞬間もあるほどなのに、自転車がなかなか進んでいってくれない。9月から10月にかけての期間は、「身体の状態はいいのに、なんで自転車が進んでいかないんだろう?」と、ずっと悩んでいましたね。それもあって、メンタル面でも前向きになれていなかったように思います。

山田:調子はいいはずなのに、なかなか結果が出ない。その理由がパッと思い浮かべばいいけど、それがなかなかわからないとなると……辛いよね。悪循環に陥って、どんどん調子を落としちゃう場合もありそうだ。

松浦:僕の場合、なにか変だなという違和感はあったんですよ。練習とかでも、スピード自体は出るんですが、そのあとの“伸び”に欠けるイメージで。あとは、自分に力みがあるというか……いままでみたいにきれいにペダルを回せていない感覚もありましたね。でも、それがどこからくるものなのか、わからなかったんです。

山田:まるでミステリーだね。で、結論からいえば、その「謎」は解けたの?

松浦:我ながら「もっと早く気付けよ!」って話なんですけど……自転車のフレームが歪んでいたことに、ぜんぜん気付けていなかったんです(苦笑)。9月初旬に向日町記念に出場しているんですが、その初日に新田さん(新田祐大選手)と接触していて。おそらく、そこで歪みが出たんでしょうね。

山田:なるほどなあ……。しかも落車はしていないから、フレームにまでダメージを受けているとは、なかなか思いつかない。

松浦:そうなんですよ。さらにいえば、新品に交換したはずのパーツもなぜか曲がっていて。新品だから大丈夫だと思い込んでいたので、余計に気付くのが遅れてしまいました。そんな感じで、問題があったのは僕自身ではなく自転車だとわかってきたのが、10月末に走った防府記念のあたり。だから、そういった問題が解決していた11月の競輪祭(GI)では、かなりいい走りができたと思います。

山田:本当は調子がよくないのに、あえて「調子はいいです!」とコメントすることで自分を鼓舞してるのかな……なんて思っていたりもしたんだけど、そういう話ではなかったんだね。でも、そこに気付けて本当によかった!

松浦:ホントですよ(笑)。各メディアでも「松浦は不調」なんて扱われ方でしたが、力も入るし、ペダルを踏み込む感じもいい。普通に自転車に乗っているぶんには感覚も悪くなかったので、なおさら気付くのが遅れた感じですね。

山田:そして競輪祭では、いい走りが再びできるようになったという手応えも感じられたと。

松浦:ハイ。自分が思った通りに……とまではいかないまでも、近いレベルの動きができたので、ホッとしたというか。これで12月に走る広島記念とグランプリは、しっかり勝負ができると思います。
※ひろしまピースカップ(GⅢ)前にインタビュー実施

山田:そういえばその広島記念なんだけど、昨年は欠場していたよね?

松浦:いや、昨年は開催時期があまりにグランプリと近すぎて、日程的に出場できなかったんですよ。だから、グランプリの前は広島ではなく、別府で走ったんです。

山田:なるほど、本当は出場したいのに日程的に無理だったというだけの話なんだね。でも今年は、日程的にも問題がないから出場しようと。

松浦:そうです。広島記念の日程が出た段階で「これはもうグランプリ前に絶対に広島で走ろう!」と思いましたね。それに、別府で走ってから臨んだ昨年のグランプリが、脚的にもいい感じだったんですよ。

山田:つまり、昨年と同じような流れでグランプリに向かえるうえに、いまであれば久しぶりに地元のお客さんの前で走れる。そりゃあ、多少はキツくても出場するほうを選ぶよね。地元での記念って、やっぱり特別だからさ。

松浦:それです。コロナ禍にあってなかなか実現できなかったのもあって、「地元のお客さんの前で走りたい」という想いが、いちばん強いですね。そこで優勝できなかったときには……ちょっとグランプリが不安になりますけど(笑)。

山田:優勝できるかどうかはともかく、自分のなかでの感触がイマイチだったりすると、時期が時期だけに嫌だよね(笑)。

松浦:そこは、いまの感触なら大丈夫だと思いますよ。地元記念とはいえ、とくにプレッシャーもないので。ぜひ優勝して、こう……気持ちがグワーッと盛り上がった感じで、グランプリに向かいたいです!

山田:しかも松浦くんの場合、グランプリで優勝すると、年間獲得賞金の記録を更新することにもなる。そこは当然、意識しているよね?

松浦:そうなることを知ってはいますが、意識しているのはあくまで「グランプリで優勝すること」ですね。その結果として記録を更新することができればベスト、という感じでしょうか。

山田:とはいえ、松浦くんには前人未踏の「3億円」を狙ってほしかったという気持ちがあるんだよね。競輪界にもそろそろ、3億円プレイヤーが登場していい頃合いだと思うし。

松浦:競輪祭で優勝できていれば、それが狙えていたかもしれないですね。僕も「優勝するならここ!」という仕掛けで勝負したんですけど……決勝戦は新山(新山響平選手)が本当に強かったです。

山田:それは私も思った。優勝した吉田くん(吉田拓矢選手)も強かったけど、新山くんも本当に力をつけているよね。ところで、グランプリへ向けての調整は、普段とは変えずに行くのかな?

松浦:そうですね。裕友とは何度か一緒に練習したいなとは思っていますが、それ以外はとくに変わったことはせず、グランプリに向かうつもりです。

山田:その清水くんとの連係についてなんだけど……ズバリ、もう前後は決まった?

松浦:決めてます! まだ言いませんけど(笑)。

山田:あ、もう決まってるんだね!

松浦:ハイ。今年の並びがどうなるのかは、グランプリの記者会見で発表します。なので、そこまでは秘密にしていこうと思って。

山田:内緒ってことね(笑)。でも、グランプリに関していえば、一昨年は松浦くんが清水くんの後ろで、逆に昨年は松浦くんが前だったよね。となれば、今年は「清水くんが前で松浦くんが後ろ」になるんじゃないかと読んでいるんだけど……どうかな?

松浦:でも、今年のビッグレースで連係した「順番」だと、今度は僕が前になる番なんですよ。だから、どっちの可能性もあるということで……楽しみにしておいてください(笑)。

山田:まあ、松浦くんと清水くんのコンビだと、どちらもレースセンスがいいから、どちらが前を回るのであってもそれほど変わらない気がするよね。では、松浦くんが前を回ると仮定して……その場合でも、当然ながら自分が優勝を狙っていく走りになるよね?

松浦:それはもちろん! 自分が勝つための走りをしますよ。

山田:では、出場する選手がすべて決まった後でもあるので、戦い方についてもちょっと聞いておきたいですね。昨年の松浦くんは「対・脇本雄太」というイメージの走りだったと思うんだけど、今年はどうだろう?

松浦:う~ん……それについてはもっとレースが近くなって、正式に並びなどが発表されてから考える感じですね。いまからアレコレ考えてもあまり意味はないし、そこでエネルギーを使いたくないというか。とにかく自分の調整をしっかりやって、脚力アップを図って、ベストの状態でレースに臨みたいです。

山田:では、今年の出場メンバーでとくに気になる選手や、意識されている選手がいれば教えてください。

松浦:競輪祭での強さが印象的だった吉田くんは気になりますね。あの調子をキープしてグランプリに出場してくると、手強いですよ。それに、平原さん(平原康多選手)のデキが上向いているのも、寛仁親王牌(GI)で感じました。そう考えると……やっぱり怖いのは関東勢ってことになりますかね。

山田:とはいえ、松浦くんも負けてはいられないよね! では最後に、グランプリへ向けての意気込みと、ファンの皆さんへのメッセージをお願いしましょう。

松浦:ハイ。グランプリではしっかり優勝を狙っていって、年間獲得賞金の記録更新もできればいいかなと思っています。裕友と一緒にアツい走りをするので、ぜひとも応援してください!


「KEIRIN GRAND PRIX 2021」公式特設サイトにて出場選手インタビュー公開中

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

記事をシェアしよう

関連記事