競輪コラム

KEIRINグランプリ2021 佐藤慎太郎選手に帝王・山田裕仁氏がインタビュー!

KEIRINグランプリ2021に出場する佐藤慎太郎選手。帝王・山田裕仁氏がグランプリにかける思いや心境をインタビューしました!


山田:佐藤選手、今年もグランプリ出場おめでとうございます!

佐藤:ありがとうございます。今日は山田さんが取材者だから、なんでも素直に話させてもらいますよ!

山田:ではお言葉に甘えて、遠慮せずにズケズケと聞かせてもらおうかな(笑)。それにしても……その年齢で、しかも3年連続でグランプリに出場できるというのは、本当にすごいことだよね。

佐藤:しかも、13年も間が空いてからの3年連続ですからね。若いときに、自分がこの年齢になってグランプリに出ているなんて、想像できなかったですよ。これはなかなかすごいことだぞと、自分で自分を褒めてもいいのかな……くらいには思っています。

山田:いや、本当にすごい。だって、この11月で45歳を迎えられたわけじゃないですか。アレコレと無理がきかなくなってくる年齢だと思うんだけど、そのあたりはどうです?

佐藤:身体については、39歳くらいのときに大きな変化を感じたんですよ。でもそこからは、大きく変わるというより「ちょっとずつ」という感じなので。45歳になったから一気にどうこう……というのはないですね。

山田:そうでなければ、これだけの成績は残せないよね。今年についていえば、ビッグレースの優勝まではもう一歩というところで、記念も惜しいところで勝てなかったとはいえ、それでも賞金ランキング上位でグランプリ出場を決めているんだからさ。

佐藤:今年はオレ、優勝ゼロなんですけどね(笑)。

山田:それでグランプリに出てくるんだから、なおさらすごいでしょ(笑)。そんな佐藤選手からすると、周りの若いヤツを不甲斐なく感じるかもしれないよね。それとも「自分がメチャクチャ頑張った結果だ」と捉えているのか、どっちなんだろう?

佐藤:それはもう「オレが頑張っている」ですよ! いやだって、トレーニングでここまで身体を追い込んでいる45歳なんて、自分以外にいないと思うんですよね。インターバルトレーニングをやっていて、心拍数が190を超えるくらいになってくると、冗談抜きで死ぬんじゃねえかなって思いますから(笑)。

山田:わかる、わかるよ! そういうときって、「きっと自分は早死にするんだろうな」なんて思ったりもするよね(笑)。

佐藤:でもこれが、自分の身体を労るような年齢になったということなんでしょう。若いときだったら限界なんて感じず、どこまでも身体を追い込めたじゃないですか。それがいまは、このまま続けたら死ぬかもしれない……なんて考えて、自分にリミッターをかけてしまうようなところがある。そういう「精神的な限界」が、ちょっと見え隠れしてるんですよね。

山田:なるほど。45歳になった自分の、肉体や精神の限界がどこにあるのか。そこと向き合いながらトレーニングしているような感じだね。

佐藤:いや、そこと向き合うとリミッターが作動しちゃうので……だから最近は「もう死んでもいいや」くらいの気持ちで、心拍数を上げてます!

山田:ちょっと心配になってくる話ではあるけど、そういった無茶なくらいの追い込み方をしているからこそ、いまの佐藤選手があるんだろうね。そして見事に、今年もグランプリへの出場を果たしたと。

佐藤:でもそれは、オレの前を走ってくれる自力選手が、本当に頑張ってくれた結果でもあります。今年は他地区の自力選手につくことが何度もあったんですが、みんな気持ちの入ったレースをしてくれましたよ。

山田:佐藤慎太郎という追い込み選手が、レースのカタチが大きく変わりつつあるこの時代においても、それだけ周囲から認められているということですよ。

佐藤:やっぱり先行選手って、後ろについた追い込み選手がどういう走りを見せてきたかという積み重ねや、レースにかける気迫を見せないことには、思いきって行ってくれないと思うんですよ。前を回った選手がそれをしてくれているということは、自分を追い込み選手として評価してくれているのかなと。それが、もっと頑張らねばと自分を奮い立たせる起爆剤にもなっていますね。

山田:とはいえ、優勝がゼロという今年の結果には、ちょっともの足りなさも感じているんじゃないですか?

佐藤:そうですね、確かにもの足りないですけど……自分には「競輪界を牽引している」なんて意識は毛頭なくて、なんとか上位陣にしがみつくことをテーマにしているんですよ。だから、優勝できなかった悔しさよりも「今年もしがみついてやったぞ!」という気持ちのほうが強いですね(笑)。

山田:なるほどねえ(笑)。ではそろそろ、グランプリの話題に入っていきましょうか。もう調整は慣れたものというか……とくだん変わったことはせずに迎える感じですかね?

佐藤:というか、ここ数年は「特定のレースに向けた調整」というものを、まったくしていないんですよ。1週間でやるべきメニューはほぼ決まっているので、それを淡々とこなしつつ、グランプリに向かうと思います。

山田:北日本は守澤くん(守澤太志選手)と2人ですが、どの選手と連係するのか、そしてどういった並びになるかについては、ファンもかなり注目していると思います。そのあたり、もう相談などはされました?

佐藤:ええ、守澤と軽く話はしましたよ。でも、まだ時間があるので、これからじっくり考えようかというところですね。

山田:郡司くん(郡司浩平選手)の後ろも、古性くん(古性優作選手)の後ろも空いているので、いろいろなパターンが考えられますよね。今年の北日本は郡司くんとの連係が多かったので、その後ろを2人で回る可能性が高そうだな……とは思っていますが。

佐藤:そしてその場合は、オレが前なのか、それとも守澤が前なのかという話になりますよね(笑)。自分としては守澤に前を回ってもらっていいと思っているし、実際に今年に入ってから何度も伝えているんですよ。オレが3番手を固めるからって。

山田:でも、守澤くんが首をタテに振らなかったと。確かに守澤くんは、高松宮記念杯競輪(GI)の決勝戦でもオールスター競輪(GI)の決勝戦でも、ラインの3番手を固めていていましたよね。そしていずれも……佐藤選手の後ろから追い抜いている(笑)。

佐藤:そう、だから守澤が後ろにいるのって、けっこう脅威なんですよ。

山田:そこが今度はどうなるかも気になるところだけど、そもそも北日本が「並ばない」パターンも考えられるよね。そのほうがお互いにチャンスがあると判断した場合には、郡司くんの後ろと古性くんの後ろに分かれる場合も……。

佐藤:それも、選択肢のひとつですよね。そういうケースもあると思いますよ。

山田:とか言いながらずっと笑顔ではぐらかしてるけど……佐藤選手の気持ちは、じつはとっくの前に決まってるんじゃないのかな?

佐藤:さすがは山田さん、よくおわかりで(笑)。この年齢になると、次にいつグランプリに出場できるかなんてわからない。守澤はこれから何度でも出場できるでしょうけど、オレはこれが最後かもしれませんよね。だから、今回がラストチャンスだと思って……自分のやりたいようにワガママな感じで、グランプリに出たいと思っています。

山田:なるほど、つまりそれが「答え」ということだ。

佐藤:そうですね。グランプリは妥協が許されないレースだと思うので、オレは迷わず「自分の勝利にいちばん近い場所」を選ぶつもりです。ずっと競輪を観てきた方なら、佐藤慎太郎という選手がどんなコメントをするか、だいたい予想できるんじゃないですかね。

山田:確かに、だいたい予想はつくよね(笑)。では、展開面についてはどうです? 佐藤選手のレースを読み解く能力は、現役でも屈指。どういった流れになると予測しているのか、ぜひ聞かせてほしいですね。

佐藤:吉田拓矢が乗ってきたことによって、関東ラインが断然有利でしょうね。ただ、それを脅威に感じる選手が多いほど、「関東ラインをどうにかせねば」という動きが強まる。それ次第で、オレや守澤がどう立ち回るかも変わってくると思います。

山田:やっぱり佐藤選手も、関東ラインがあの並びになると、厳しい展開になりそうだと捉えているってことね。

佐藤:これは古い捉え方なのかもしれませんが……競輪ってひとつのドラマだと思うんですよ。1年間さまざまなドラマがあって、その最終回がグランプリだとオレは考えています。

山田:なるほど。で、最終回の主役を張るのは、今年は関東ラインだと?

佐藤:間違いなく「主役級」ではありますよね。オレはいつも競輪ファン目線でレースを見るんですけど、高松宮記念杯競輪(GI)では宿口(宿口陽一選手)が、寛仁親王牌(GI)では平原(平原康多選手)が吉田拓矢の後ろから勝って、そして競輪祭(GI)は吉田拓矢が自分の力で獲って。

山田:確かに、関東ラインは全員がタイトルを獲ってグランプリ出場を決めてるからね。今年もっとも存在感を発揮したのも、関東なんじゃないかな。

佐藤:ならば最終回で、吉田拓矢のやるべきことは決まってるじゃないですか。自分ではなくラインのために駆けて「先輩方どうぞ!」というのが、いちばんドラマチックですよ。それが競輪のセオリーというか……オレは古いタイプの選手なんでこんなふうに考えるんですけど、どうですか山田さんは?

山田:昔懐かしい「昭和の競輪」だなあ(笑)。でも、私もその時代を走ってきた選手だから、考え方は佐藤選手と同じですよ。それに……関東にはそういう昔ながらの空気が、まだ少し残っているような気がするね。

佐藤:だったらなおさら、この路線ですよ。もっとも、主役級ではなく“悪役”たるオレたちは、そんなハッピーエンドにはさせまいと、関東をどうやっつけるかを必死に考えるわけなんですが(笑)。まあ、松浦や清水も黙ってはいないだろうから、関東は中国にどうにかしてもらうのも手かもしれないですね。

山田:グランプリというドラマは、優勝者こそが主役ですから。最終的に佐藤選手がどういった選択をして、どのような戦い方をするのか、共同記者会見や実際のレースで見せてもらいますよ。どんな“脚本”をひっさげて本番に臨んでくるのか、楽しみです!

佐藤:あとはグランプリって、期末テストみたいなものでもありますよね。自分が1年間どういう走りをしてきたかを全力で出して、ファンに見てもらう場でもあるというか。なので、優勝を目指すならこうだけど、今年オレがやってきたのはこっちだよね……といった部分もあるから、なおさら難しい。まあ、まだ時間はあるので、しっかり考えようと思います。

山田:いやあ、いい話がいっぱい聞けて私も楽しかったですよ。それでは最後に、グランプリに向けての意気込みと、全国300万人の慎太郎ファンへ向けてのメッセージをお願いしましょう。

佐藤:正直にいうと、世代交代の波というものをヒシヒシと感じています。グランプリの出場メンバーも、自力選手ばかりですよ。守澤は自力の競輪もできるので、真の意味での追い込み選手はオレしかいない。でも、そんな追い込み選手を応援してくれるファンの方も、けっこう多いんですよね。そんな人たちに、オレは追い込み選手の力というものを見せたい。時代の流れに逆らってもがく姿を、ぜひ見てもらいたいですね。


「KEIRIN GRAND PRIX 2021」公式特設サイトにて出場選手インタビュー公開中

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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