競輪コラム

ヤンググランプリ2021出場 山口拳矢選手インタビュー

ヤンググランプリ2021に出場する山口拳矢選手。出場にかける思いや意気込みを伺いました。


── ヤンググランプリ出場、おめでとうございます。現在の心境から聞かせていただけますか?

正直なところ、グランプリに出場できなくて悔しい気持ちのほうが大きいですね。でも、こればっかりは仕方がない。気持ちを切り替えて、ヤンググランプリでの優勝を目指そうと思います。

── グランプリ出場は残念ながら叶わなかったとはいえ、大躍進の1年だったのではないでしょうか。まずは、今年ここまでを時系列で振り返っていただきましょう。3月には、大垣のルーキーチャンピオンレースで優勝されましたね。

あのレースが最初の目標で、しかも地元での開催。最初から優勝だけを狙っていたレースでした。

── その勢いに乗って、ウィナーズカップ(GII)でビッグレースに初出場。しかも、いきなり準決勝まで進出しています。「このあたりまではいけそうだな」という、自信や手応えがあっての結果だったのでしょうか?

いや、自分の力がどこまで通用するかもわからない段階でしたから。目の前の1走1走で頑張って、いけるところまでいった結果だったと思います。

── その後は、6月に高松宮記念杯競輪(GI)に出場して、こちらも準決勝まで進出。そして7月のサマーナイトフェスティバル(GII)では、松浦悠士選手には敗れるも準優勝と、ビッグレースでもその力を証明してみせました。

いや、あの準優勝は本当に「たまたま」なんですよ。自分の力で出した結果という実感がなかったので、自信にも繋がらなかったというか。

── それはなぜでしょう? 単騎での勝負で、勝負どころではいいコースを選んで入って……松浦選手こそ差せませんでしたが、最後の脚はかなり目立っていました。けっして悪くない内容だったと思うのですが。

勝ち上がりの内容がよくなかったですよね。それに決勝戦も、自分から内にいったのではなく、押し込められてあそこしかコースがなかったという感じで。そうしたら、たまたま前が開いた。本当に運がよかったんです。

── そして、8月のオールスター競輪(GI)でも準決勝まで進出して、9月には共同通信社杯(GII)でビッグレース初優勝。何度も聞かれたとは思いますが、共同通信社杯を勝った瞬間はどんな気持ちでしたか?

いやまさか、あんな最高のカタチで終われるとは思わなかったですよ(笑)。オールスター競輪で、自分から動くレースをしていいところまでいけたのが、その後の自信につながったと思います。あまり臆さずに、いくべきところでいけるようになったというか。

── なるほど、自信をもって走れるようになった成果ということですね! しかし、10月上旬に出場した青森のFIで落車。そのダメージがあったのか、直後に出場された寛仁親王牌(GI)は、準決勝まで進めず敗退という残念な結果でした。

落車後とはいえ、寛仁親王牌での調子はけっこうよかったんですよね。負けた二次予選にしても、アップでの好感触から「4着以内には入れそうだ」と思っていたくらいですから。

── さらに、11月の岸和田FIでも落車。そして先日の競輪祭(GI)でも落車と、短期間で3回もの落車がありました。ちょっとリズムを崩されているというか……このあたり、ご自身ではどう捉えていらっしゃいますか?

落車に関してはもう、「レースなので仕方がない」のひと言です。守澤さん(守澤太志選手)と接触した競輪祭にしても、車輪を引っかけられての落車なので、僕にはどうしようもない(苦笑)。落車しそうなときは、危険を察知してけっこう避けられるほうだと思っているんですが……。

── 結果として守澤選手も失格となったレースですから、ある程度は察知できたとしても、落車を完全に避けるのはなかなか難しいですよね。そんな悔しい結果となった競輪祭でしたが、同時に「グランプリ出場を逃した」という悔しさもありました。途中欠場となってからは、入院されていたんですよね?

ハイ。それもあって、競輪祭の決勝戦は病室で観ていました。

── その決勝戦には、優勝された吉田拓矢選手を含めて、グランプリの出場権を持たない選手6人が勝ち上がっていました。しかも吉田選手は、ここで4着以内であれば賞金で山口選手を上回るという状況。グランプリに出場できる可能性がまだある中で、かなりハラハラしながら観戦されていたと。

そうですね。そして結果的にはグランプリ出場が果たせなかったわけですが……吉田くんが自力で優勝してグランプリの切符を勝ち取ったんですから、僕が言うことは何もないですよ。吉田くんが強かったという、それだけの話です。最初にも言いましたが、こればっかりは仕方がない(笑)。

── そのぶん、ヤンググランプリでの大活躍を期待しております! ところで、怪我の状態は現在、どういった感じなのでしょう?

左肩を手術したのもあって、少し違和感がありますね。怪我をしたほうの肩が、まだあまり上がらないんですよ。じきに動くようになるとは聞いていますが。

── 骨折されたわけではないですよね?

症状としては肩鎖関節の脱臼で、靱帯が延びたというか……骨が浮いてしまった状態だったそうです。それを現在は、上から押さえて固定してある感じですね。

── では、退院はされたものの、まだしばらくは安静にしたほうがいい状態だと。

でも早いうちに、ローラーだけでも乗り始めようとは思っています。あとは怪我の状態を確認しながら、ヤンググランプリに向けて少しずつ調子を上げていきたいですね。

── 今年はもうヤンググランプリにしか出場されないとはいえ、ここからの調整はけっこう大変そうな……。山口選手としても、ちょっと不安な面はありますよね。

そうですね、状態をどこまで戻せるか次第というか。万全の状態でレースに臨めるかどうかは、現時点ではちょっとわからないです。

── しかも競輪祭での落車で、フレームを直されながら乗っていた自転車がダメになったという話も聞きました。

よくご存知ですね(笑)。共同通信社杯でも乗っていた自転車で、フレーム修正後に古い自転車と乗り比べたりもしたんですが、やっぱりこっちのほうがいい感じで。だから競輪祭でも使っていたんですが、さすがにもう厳しいですね。

── なかなかに前途多難というか……そういえば山口選手は「数え年」だと26歳ですよね。地域や宗派による違いもありますが、男性の後厄にあたる年齢だそうですよ。

そういうのもあるのかなと、じつはちょっと思っていたんですよ! なるほど、それが理由だったんだ(笑)。

── 悪いリズムを断ち切るために、「厄落とし」に行かれるのもいいのではないかと(笑)。せっかくですから、ぜひヤンググランプリの前に行ってみてください! ところで、ヤンググランプリでの戦い方については、もう考えていらっしゃいますか?

具体的な作戦を立てるのはこれからですが……ラインができそうなのは、北日本と中四国ですよね。主導権を取るのはこのどちらかだと思うので、とりあえずは中団よりも前にいないと。まあ、前々にって感じでしょうか。

── 山口選手が意識されている選手や、気になる選手がいれば教えてください。

やっぱり寺崎さん(寺崎浩平選手)ですね。117期はみんな、寺崎さんの強さをずっとまのあたりにしてきたんですよ(笑)。養成所時代、一緒に戦っても勝ったことがないですから、すごく強いイメージで。それにトップスピードもあるので、どこからでも飛んでくる。位置取りに失敗したら勝てないイメージです。

── 寺崎選手は、自転車競技で世界選手権にも出場されている、未来のオリンピアン候補ですからね。そのほかにはどうでしょう?

あとは、町田くん(町田太我選手)も気になります。養成所時代はそれほど強さを感じさせなかったんですが、デビューしてからどんどん強くなって。先行してあれほどの強さを見せる選手というのは、なかなかいないと思います。

── 最後に、ヤンググランプリへ向けての意気込みをお聞きしたいところなのですが……怪我で順調さを欠くうえに強敵ぞろいとなると、そう強気にはなれないでしょうか?

相手が強いので優勝できる気がしないです(笑)。けど、共同通信社杯を獲って以降の悪い流れを、払拭できるような走りを見せたいですね。

── それでこそ山口選手! 強気に攻めるレースで、大観衆をおおいに沸かせていただきたいですね。では、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

終わりよければすべてよしということで……最後にしっかり勝って、いいカタチで1年を締めくくりたいと思います。応援よろしくお願いします!


「KEIRIN GRAND PRIX 2021」公式特設サイトにて出場選手インタビュー公開中

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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