競輪コラム

前橋競輪の歴史と特徴を徹底深堀! バンクの特徴と特別競輪の見所も解説!

前橋競輪場の歴史

1945年(昭和20年)8月5日、群馬県前橋市を襲った米軍の空襲は1万1518戸を全半焼させ、535人(700人という記録もあり)を死に至らしめました。被災面積は全市の22%、被災戸数は全市の55%、被災人口は全市の65%という大被害でした。

その復興支援のひとつとして前橋公園の敷地に競輪場が建設されることになったのです。1950年(昭和25年)4月22日に開設した『旧前橋競輪場』は1周500mの屋外バンク(後に400mに改築)。群馬県庁の裏手という立地の良さから人気となり、1960年代後半になると市の予算の10%近くが競輪からの収入によって賄われていたという話です。

1990年(平成2年)、旧競輪場の近くに『世界選手権自転車競技大会』のメイン会場として『グリーンドーム前橋』が建設されました。大会後、この施設に競輪場の機能を移転させて日本初のドームバンクとして誕生したのが今の前橋競輪場なのです。

グリーンドーム前橋外観

前橋競輪の記念競輪は

その世界選手権自転車競技大会で名誉総裁が寛仁親王だったことにちなんで『寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント』(以下、親王牌)という名の特別競走が開催されることになり、同大会の会場として使われていた『前橋競輪場』が主な舞台となります。1992年(平成4年)の第1回から数えて計21回が前橋競輪場でおこなわれています。

他に前橋競輪場で開催された特別競輪というと2011年(平成23年)の『高松宮記念杯競輪』、2012年(平成24年)と2014年(平成26年)の『オールスター競輪』があります。

ドームのため照明設備はありながらも騒音対策で夜の開催はしばらくおこなわれていませんでしたが、2012年(平成24年)よりミッドナイト競輪、2015年(平成27年)よりナイター競輪も開催されています。

記念競輪(G3)は親王牌がおこなわれない年度のみ開催されるのが通例となっていて、今年、2021年(令和3年)は親王牌が弥彦競輪でおこなわれるため、5月20日(木)から23日(日)の4日間、前橋競輪開設71周年記念G3『三山王冠争奪戦』が開催されます。

三山王冠争奪戦 注目の出場選手は?

地元からは木暮安由選手(S1・群馬・92期)と若手気鋭の佐々木悠葵選手(S2・群馬。115期)、小林泰正選手(S2・群馬・113期)などが参戦。同地区の関東勢では平原康多選手(SS・埼玉・87期)、宿口陽一選手(S1・埼玉・91期)などがやってきます。

その他の有力選手としては清水裕友選手(SS・山口・105期)と和田健太郎選手(SS・千葉・87期)のS級S班に、近況調子が良い山田英明選手(S1・佐賀・89期)や小倉竜二選手(S1・徳島・77期)などが登場します。

前橋競輪のバンクについて

日本初のドームバンク、前橋バンクの画像
彼らがもがき合う前橋バンクは移転当初333mでしたが、高速で競い合う選手が退避できるスペースを内側に設ける必要性が生じたため、335mに拡張されています。

それもそのはず。前橋といえば日本最大カントの36°0′0″(33バンクで最もカントが緩いのは松戸の29°44′42″)で、まさに崖。反り立つ崖から一気に下る「山おろし」は、ぶつかったら危険なくらい超高速です。コーナーごとに後ろの選手がスピードに乗ってかませるため、ラインの入れ替わりが激しく、「ルーレットバンク」とも呼ばれています。

直線は46.7mで、33バンクの中で最も長いのですが(33バンクで一番短いのは小田原の36.1m)、カントを使った自力選手を追い込むのは容易ではなく、他場に比べて「差し」の決まり手は明らかに少なくなっています。「逃げ」か「捲り」のどちらのラインが最終コーナーを上手く使ってスピードに乗れたか勝負になり、勝ったほうはラインそのまま出切って決着となりやすいです。ただし番手、3番手のツキバテには注意しましょう。

前述した選手でいうと先行意欲の高い佐々木選手や小林選手のラインは本命に推されるはず。平原選手が番手につくことがあれば、差すか差さないかは焦点になるでしょう。


前橋のイメージキャラクターは競輪選手のヘルメットをモチーフにした『チャメット』(自転車を意味する「チャリンコ」と「ヘルメット」に「おちゃめ」を合わせた名前)ですが、2020年(令和2年)5月から前橋競輪公式コンシェルジュとして『まえばしめぐみ』という清楚な女性キャラクターも加わりました。一緒に記念競輪で盛り上がりましょう!

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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