KEIRINグランプリ2021 レース展望
競輪界トップ9による勝てば1億円の一発勝負、『KEIRINグランプリ2021』 in 静岡競輪場。
2021年の最後を締めくくるグランプリファイナル『KEIRINグランプリ2021』がいよいよ開催される。
今年のG1レース優勝者と獲得賞金額上位者から選ばれし9名の選手。すなわち今の競輪界トップ9が集結してもがき合った果て、見事頂点に立てば1億円を超える賞金を手にすることができるといった最高峰の一発勝負である。
12月30日(木)、3年ぶりの舞台となる静岡競輪場にて、誰よりも先にゴール線を駆け抜ける「HERO」の走りに心震わせよう。
強固な関東勢に挑む中国ゴールデンコンビと
南関&北日本ライン、単騎古性の戦術はいかに
恒例の前夜祭は今年も中止となり、12月21日にリモートで行われた共同記者会見にて車番の選択とコメントが発表された。枠番と車番、並び予想は以下の通り。
1番車 松浦悠士(広島・98期・31歳)
2番車 郡司浩平(神奈川・99期・31歳)
3番車 平原康多(埼玉・87期・39歳)
4番車 古性優作(大阪・100期・30歳)
5番車 佐藤慎太郎(福島・78期・45歳)
6番車 守澤太志(秋田・96期・35歳)
7番車 吉田拓矢(茨城・107期・26歳)
8番車 宿口陽一(埼玉・91期・37歳)
9番車 清水裕友(山口・105期・27歳)
⑨清水①松浦・④古性・②郡司⑤佐藤⑥守澤・⑦吉田⑧宿口③平原
5月の日本選手権で勝利した“ダービーキング”松浦悠士が1番車となった。グランプリは3年連続3回目。そろそろ本気で獲りたいはずだ。ダービーの後、7月のサマーナイトフェスティバルで完全優勝して、獲得賞金額は169,174,000円で堂々の1位。グランプリを獲れば三谷竜生の持つ歴代最高の年間獲得賞金額、255,313,000円を突破する。是が非でも勝ちたいはずだ。
そんな松浦が選んだのは清水裕友の前ではなく番手。8月から調子をガクンと落としていたが、徐々に取り戻して広島記念で優勝している。あとは清水がどこまで上げてきているか次第だろう。相性が良いという静岡競輪場にて念願の“賞金王”に輝くことができるのか。
2番車はこちらも3年連続3回目となる郡司浩平。2月に地元の全日本選抜で2度目のG1優勝を達成し、グランプリ一番乗りを果たした。ダービーで惜しくも2着に敗れた後、病気で1カ月の休養を余儀なくされてからは本来の走りができていない印象だが、グランプリには合わせてくるはずだ。地元の南関東地区からは唯一の参戦。単騎の可能性もあったが、北日本勢が付いてくれるということになって心強いだろう。昨年末から今年前半にかけての強い競輪復活に期待したい。
グランプリは9年連続12回目。誰よりも勝ちたいという気持ちが強いのは3番車の平原康多であろう。1月から3月までに記念3勝というスタートダッシュを決めるも、骨折欠場があって苦しんだ2021年。それでも目を掛けている後輩の宿口が出るならと奮起しての寛仁親王牌優勝でグランプリ出場をもぎ取るあたりはさすがだ。関東3車ラインのしんがりで長年の夢を叶える。
念願のG1優勝を果たしたオールスター決勝と同じ4番車となったのは古性優作。タイトルホルダーとしてグランプリ初出場を成し遂げた。オールスター後には1カ月の病欠もあったが、競輪祭ではしっかりと優出している。記念で2回優勝している静岡は相性が良い。単騎でも自在の走りで活路を見出し、チャンスをものにしたい。
メンバーのなかでは唯一の優勝経験者。『KEIRINグランプリ2019』の覇者、佐藤慎太郎が5番車である。今年はビッグでの優勝はないが、決勝常連として安定した成績を残し、獲得賞金額77,429,500円の7位でグランプリ出場を果たした。大のタイガースファンとしては願ってもない黄色の5番で、グランプリは3年連続7回目のラッキー7。六甲おろしを口ずさみながら、相性が良いという静岡競輪場でグランプリ最年長勝利記録を更新していただきたい。
佐藤の前でがんばるなんていう話もあったが、佐藤と共に郡司の後ろへ付けることになった6番車の守澤太志。今年は競輪人生初の“赤パン”(S級S班)生活でプレッシャーもある中、獲得賞金額75,704,600円の8位で滑り込んだ。広島記念初日に右鎖骨を骨折してしまったが、なんとか治して2年連続2回目の出場。今年一番世話になったという郡司ラインの3番手で虎視眈々と優勝を狙う。
今、関東で一番乗れている選手だと評判の高い吉田拓矢が“競輪王”となってグランプリに初参戦してくる。6月の高松宮記念杯では宿口陽一の優勝に貢献し、10月の寛仁親王牌では平原康多を優勝へと導いた。その2人が願ったグランプリ出場を競輪祭決勝にて単騎戦でなし得た脚は本物だ。関東から優勝者を出せるようにがんばると言うが、自身の優勝も十分にあり得る。記念の優勝とG1の優勝で乗っていたのと同じ7番車。S級初優勝の地、静岡競輪場で全速自力勝負を挑む。
尊敬する先輩である平原康多の応援に来る場所だったグランプリへ、初めて自分が出場することになった宿口陽一。G3やG2の優勝経験なしにG1初優勝を飾った姿に感動した競輪ファンも多いだろう。それが偶然ではなかったことは後半の走り、特に10月の前橋で捲って記念初優勝を達成した強さが物語っている。優勝した高松宮記念杯決勝と同じ8番車。関東ラインをしっかり援護して、勢いそのままにグランプリ制覇を目指す。
今までに勝っているG1、G2すべて9番車ということで、第一希望が叶った清水裕友。今年はG1優勝がなかったが、3月のウィナーズカップで優勝し、獲得賞金額8,212,600円の6位で4年連続4回目の出場を果たしている。昨年同様、後半に調子を落としてしまっていったが、これまた昨年同様にグランプリでは調子を戻してきているはずだ。3年連続で組むこととなった松浦悠士との中国ゴールデンコンビが三度目の正直となるか。
※年齢は2021年12月30日のもの
※獲得賞金ランキングは2021年12月23日現在
以上、9名の選手による争いとなる。改めて並び予想だが、④古性がスタートで飛び出すものの後手に回されたくない①松浦がSを取るのではなかろうか。そのまま④古性が中国ラインの後ろへ付けて、②郡司が中団、⑦吉田が後団となり、この並びに。
⑨清水①松浦・④古性・②郡司⑤佐藤⑥守澤・⑦吉田⑧宿口③平原
⑦吉田はけん制だと②郡司に合わされそうなので一気にインを切る。②郡司の前に④古性が③平原の後ろに付けて追走も、⑨清水がどこかに内から飛びつこうとしてごちゃつくと、②郡司もその外から行くのは躊躇してしまう。すかさず⑦吉田が一気の踏み出し。何度も連係している⑧宿口や③平原が踏み遅れるとは考えづらい。あとは誰が捲りに来るか。2コーナーからの早めの捲りが決まりやすい静岡競輪場。③平原の後ろに付いてきていて、先に動き出しそうな選手が有利になる。しかし、皆が遅めの捲りになってしまったら、逃げる関東が有利に。風向き関係なくホームもバックも向かい風になりやすい静岡競輪場で先行選手は脚がタレやすい。最後は差し目か、風が強ければズブズブまであるのか。
なんていう展開予想も立つが、結果はいかに。今年の競輪界の頂点に君臨する「HERO」が決まるその瞬間が待ち遠しい限りである。
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
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