競輪コラム

若手が“ヒーロー”になれるビッグレース開幕! 第37回『共同通信社杯競輪』

第37回「共同通信社杯(G2)」大会展望

『ルビーカップ』という全国8地区の競走得点1位の選手9名によって争われた、一発勝負の特別競走が始まりだった。1988年(昭和63年)のことである。

その後、共同通信社から冠を戴いて『共同通信社杯ルビーカップレース』となり、『全日本選抜』のシード戦になったり、『ダービー(日本選手権競輪)』の前哨戦になったり、紆余曲折を経る。『競輪祭』のトライアルレースだったこともある。かつてのG2『ふるさとダービー』に代わるものとして春と秋の2回開催になったこともある。

その4月開催だった『共同通信社杯 春一番』が若手を優遇するフレッシュなメンバー構成の大会だったことを受け継ぎ、2012年(平成24年)より年に1回おこなわれる「若手の登竜門的ビッグレース」となって、今に至る。

開催当年より遡ること8年前、今年でいえば2013年(平成25年)7月デビューの103期から、昨年7月デビューの117期の若手選手の中から、平均得点上位者25名が優遇して選ばれる大会。

すなわち若手バリバリの選手が先輩強豪選手に真っ向から勝負を挑み、勝てば競輪界の頂きに立って“ヒーロー”になれるシリーズ……それが『共同通信社杯競輪』である。

第37回となる今回は9月17日(金)から20日(月・祝)までの4日間。岐阜競輪場にて開催する。

ヤングに立ちはだかるS級S班9名揃い踏み!優勝賞金2000万を奪ってGPに近づくのは誰だ!

季節が秋になり、グランプリ戦線もいよいよ佳境へと突入する。ここを獲ればGPにかなり近づくとなれば、G1を勝っていないS級S班の7名は若手有望株にかまっていられない……と言いたいところだが、無視できない存在がいる。

山口拳矢選手(S2・岐阜・117期)。昨年のデビュー以来、光り輝き続けている地元・岐阜のヤングスターであり、今回の大注目選手である。

9月9日現在で獲得賞金額3320万1000円でランキング第13位。グランプリ戦線の真っ直中にいる。8月の『オールスター競輪』では準決で惜しくも4着だったのだが、一次予選ではいわき平のバンクレコードにコンマ1秒まで迫る10秒6という上がりタイムを叩き出しているのだ。優勝候補の一角と言っても過言ではない。初のビッグレース制覇は地元で叶えたいという気持ちも強くあるだろう。

最近、ロールスロイスを買ったという山口選手。そのイケイケのままに、競輪界を大いに盛り上げていただきたい。

同じ中部勢でいうと柴崎淳選手(S1・三重・91期)が近況調子が良い。浅井康太選手(S1・三重・90期)も出場するが、2人とも番手で仕事をするといったタイプではない。ここは地元の大ベテラン、志智俊夫選手(S1・岐阜・70期)を引き上げて、逃げやすい体勢を作りたいところだが……まあ、山口選手なら単騎でも突き抜ける力はあるか。

そこに大きく立ちはだかるのが、脇本雄太選手(SS・福井・94期)になる。東京五輪終了の翌日に前検入りという強行スケジュールだった『オールスター』で準優勝。9月頭におこなわれた向日町記念では圧倒的な力で完全優勝を成し遂げている。あの剛脚からして、優勝候補筆頭であることは間違いない。

脇本選手の番手から差し切り、念願のG1初制覇を『オールスター競輪』で成し遂げた古性優作選手(S1・大阪・100期)としては再び後ろに付けたいところだろう。そこに好調をキープしている稲川翔選手(S1・大阪・90期)も乗れば、近畿勢は盤石の体勢に。若手エースの寺崎浩平選手(S1・福井・117期)も上がってきたとしたら、どんな並びになるのか楽しみだ。

脇本選手と共に五輪を戦った新田祐大選手(SS・福島・90期)率いる北日本勢も最近はメンバーが充実している。佐藤慎太郎選手(SS・福島・78期)に守澤太志選手(SS・秋田・96期)。若手も新山響平選手(S1・青森・107期)に加えて、高橋晋也選手(S1・福島・115期)もいる。第23回大会で完全優勝した山崎芳仁選手(S1・福島・88期)も最近は調子を上げてきた。前も後ろも揃っている、北日本勢。ただ、新田選手が向日町記念で初日に失格して途中帰郷したことと、山崎選手が『オールスター競輪』で落車した影響が気がかりなところ。

平原康多選手(SS・埼玉・87期)率いる関東勢も充実の一途を辿っている。『高松宮記念杯競輪』で優勝した宿口陽一選手(S1・埼玉・91期)、安定した力を見せている吉田拓矢選手(S1・茨城・107期)、ベテランの巧みさで魅せる諸橋愛選手(S1・新潟・79期)、埼玉113期コンビの黒沢征治選手(S1・埼玉・113期)と森田優弥選手(S1・埼玉・113期)も出場し、前から後ろまで勢揃いの様相だ。

そこに忘れちゃいけないのが、眞杉匠選手(S1・栃木・113期)。競輪ファンとしては今、一番見ていて気持ちがいい選手ではなかろうか。今回も徹底先行一本で優出していただきたい。

一方でちょっと心配なのは南関勢。欠場が続いていたエース、郡司浩平選手(SS・神奈川・99期)が約2カ月ぶりのレースとなった松阪G3初日特選。7番手から一気に捲って1着になったので少し安心したが、G2初日にはどこまで仕上げてくるだろうか。今年前半の迫力ある走りを取り戻してくれば、あとは調子を戻してきている和田健太郎選手(SS・千葉・87期)が後ろを捌いてくれるはず。8月の松戸記念で決勝に乗った渡邉雄太選手(S1・静岡・105期)辺りが前をやってくれれば、厚みは出るのだが……。

調子を落としているといえば松浦悠士選手(SS・広島・98期)。『オールスター競輪』で決勝進出を逃した後、松戸記念では優勝するものの、向日町記念は優出ならず。とはいえ十分過ぎる成績ではあるのだが、ピーク時の松浦選手と比べてしまうと物足りなさを感じてしまう。清水裕友選手(SS・山口・105期)も決して調子が良いとは言えず。中国勢未来のエース候補である町田太我選手(S2・広島・117期)と共に「中国ゴールデントリオ」となって復権を願いたい。

対して、瀬戸内の向こう側、四国勢は好調だ。ドン・小倉竜二選手(S1・徳島・77期)率いる徳島勢の太田竜馬選手(S1・徳島・109期)、阿竹智史選手(S1・徳島・90期)は好調を維持。そこに今回は若手の石原颯選手(S2・香川・117期)も選出されているので、四国だけでもかなり強力であり、中四国となれば、ぶ厚いラインが形成されるだろう。

残るは九州勢だが、急激な復調を果たしているのが中川誠一郎選手(S1・熊本・85期)。元ナショナルメンバーとしては五輪に刺激を受けたのだろうか。『オールスター競輪』では約2年ぶりのG1優出を決めた。3年後の熊本競輪再開まで強さをキープしていただきたい。

同じ熊本からは前回大会優勝のディフェンディングチャンピオン・中本匠栄選手(S1・熊本・97期)、前への迫力は若手以上のものがある北津留翼選手(S1・福岡・90期)も参戦するとなると、九州勢も侮れない存在だ。

脂の乗っている強豪がねじ伏せるのか、それとも若手が一気にスターダムにのし上がって、新たな“ヒーロー”誕生となるのか……岐阜の4日間に乞うご期待♪

あ、ちなみに400mの岐阜バンクはクセのない標準的な走路で、誰にでもチャンスあり。特徴としてはバンクの内側に大きな池があるため、先行選手は重さを感じることと、やや長めの直線には中央に伸びるコースがあるということ。これらをわかっているベテランが巧みな技で抜けきることもあるのもお忘れなきように。

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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