競輪コラム

若手の登竜門!GP出場をかける!第36回『共同通信社杯競輪』大会展望・注目選手

始まりは1988年(昭和63年)に競輪発祥40周年を記念して平塚競輪場で開催された一発勝負の競争「ルビーカップ」だった。

全国8地区の競走得点1位者に選考委員会が選抜した1名を加えた9名によって行われたレースは好評を博し、翌1989年(平成元年)から共同通信社の冠を戴き『共同通信社杯ルビーカップレース』となる。

1996年(平成8年)の第8回大会から4日制トーナメントによる準特別競輪(現在のG2相当)になり、ダービーの前哨戦に格上げ。2001年(平成13年)からは競輪祭のトライアルレースに。2009年(平成21年)からは『共同通信社杯 春一番』『共同通信社杯 秋本番』の2回開催になったが、2012年(平成24年)には再び年1回の4月開催になり、2016年(平成28年)の特別競輪開催見直しによって今の9月開催になったのである。

紆余曲折がありながらも、「若手の登竜門」的位置付けが確立(今回であれば101期から115期までの成績優秀な選手が優先的に選抜される)。また9月開催でG1同様の2000万円台に達する優勝賞金ということでグランプリ出場の行方を大きく左右する(実際にここ3年間の覇者はG1未勝利ながらグランプリ出場を果たしている)。

若手にとっても、ベテランにとっても重要なビッグレース。それが共同通信社杯競輪。
第36回目となる今回は9月18日(金)から21日(月・祝)に伊東温泉競輪場でおこなわれる。

S級S班9名勢揃いにナショナルチーム参戦

選手の選考基準は

  • 「S級S班在籍者」
  • 「前回のオリンピック自転車競技トラック種目メダル獲得者」
  • 「JCFトラック種目強化指定A所属(S級1班に限る)」
  • 「共同通信社が推薦する選手3名」
  • 「開催当年より遡って8年前までに旧日本競輪学校ないし、日本競輪選手養成所を卒業した選手(今回は101期から115期)のうち、平均得点上位者から25名」
  • 「F1開催(S級シリーズ)決勝で1位から3位回数上位者」
    に加えて今回は「平均競走得点上位者」となる。

S級S班9名は揃い踏み。ナショナルチームのメンバーも数多く参戦していて豪華絢爛。そこに若手の強豪が加わることで、数々の名勝負が生まれるのは間違いないだろう。

しかもシードレースのないシリーズ。初日の12個レースからすべて一次予選の勝ち上がりを競うため、バッチバチの競輪が楽しめる4日間になる。

気になる優勝候補、注目選手は?

優勝候補筆頭はやはり脇本雄太選手(福井94期)。
今年初戦の高松宮記念杯では完全優勝。オールスターでは松浦悠士選手(広島98期)にしてやられたが、準決ではバンクレコードタイ記録で勝っていることを考えれば力では断トツのトップである。近況のレース運びを考えると赤板で先頭に出切ってそのまま押し切るか。今回は33バンクの短走路である伊東温泉だけに、もっと前から先行勝負に出るかもしれない。近畿勢で番手を張れるのは最近好調の古性優作選手(大阪100期)辺りか。地元の向日町記念を欠場した村上博幸選手(京都86期)の調子は気になるところだ。

そんな中、近畿勢で注目なのは寺崎浩平選手(福井117期)。

初のビッグレースとなったサマーナイトフェスティバルの特別優秀では脇本選手と高校の先輩後輩ラインを組んで、見事先輩の勝利に貢献している。G1初参戦のオールスターでは準決まで進んだのに負けてしまったが、今回こそ決勝で脇本選手との連係を是非とも見てみたい。

オールスターで寺崎選手を捌いたのが、こちらも優勝候補になるであろう新田祐大選手(福島90期)。

新田祐大

近年ならこの時期になるとG1をひとつは獲っていてグランプリ出場を決めていたが、今年は叶っていない。優勝すればG1相当の賞金が得られる共同通信社杯は是非とも獲っておきたいタイトルだ。

同じナショナルチームの新山響平選手(青森107期)が前で引っ張って、後ろを佐藤慎太郎選手(福島78期)が固めてくれれば盤石になるのだが……そうなると佐藤選手に展開が向くか。新山選手ではなく同じ福島でナショナルチームの高橋晋也選手(115期)が入って福島3車ラインを形成したら、他のラインはちょっとやそっとじゃ太刀打ちできないだろう。

今回も中四国から目が離せない

ラインで強力といえば清水裕友選手(山口105期)と松浦選手の中国コンビ。高松宮記念杯では脇本選手にやられたが、サマーナイトフェスティバルでは新田選手を撃破。オールスターでは原田研太朗選手(徳島98期)と松浦選手が中四国ラインを組んで脇本選手を打ち破るといった強さを見せている。他にも愛媛の松本貴治選手(111期)辺りが絡んでより強力な中四国ラインを組めれば、近畿ラインや北日本ラインと互角かそれ以上に争えるだろう。

南関東勢、リベンジなるか!?

そこで忘れちゃいけないのは地元地区の南関勢。昨年の覇者であり、南関のエース・郡司浩平選手(神奈川99期)と将来のオリンピックメダリスト候補の松井宏佑選手(神奈川113期)が組めば鬼に金棒。さらに地元静岡の渡邉雄太選手(105期)やベテラン渡邉晴智選手(73期)が合わされば、これまた強固なラインができあがる。

それら4強に割って入りたいのは2年間ビッグレース優勝から遠ざかっている平原康多選手(埼玉87期)。吉澤純平選手(茨城101期)や吉田拓矢選手(茨城107期)、坂井洋選手(栃木115期)辺りの若手先行型と組めれば勝機は見えてくる。

中部勢、九州勢からも盛り立てられるか?

今年前半は調子良かったものの近況はピリッとしない浅井康太選手(三重90期)はナショナルチームの深谷知広選手(愛知96期)との中部連係でどこまでいけるか?

最近乗れてきている山崎賢人選手(長崎111期)や中川誠一郎選手(熊本85期)などの九州勢もここを機に盛り返し、競輪をもっと盛り上げていただきたい。

トップ選手が争う9車立ての競輪の面白さを是非とも見せていただきたい。

最終日にはガールズ一発勝負レースもあり

それとは別に“ケイリン”の魅力を存分に味わわせてほしいのが最終日の9月21日(月・祝)の9Rでおこなわれる『ガールズケイリンコレクション2020 in 伊東』である。

高木真備

梅川風子選手(東京112期)、石井寛子選手(東京104期)、高木真備選手(東京106期)、柳原真緒選手(福井114期)、鈴木美教選手(静岡112期)、石井貴子選手(千葉106期)、大久保花梨選手(福岡112期)の7名が争う一発勝負のレースだ。

近況、絶好調なのは高木選手。開催休止期間に相当な練習を積んだとしか思えないパワーアップに自在スタイルへの変更で完全Vを頻発している。対抗格はガールズドリームを制して賞金ランク2位の石井貴子選手。

そして近況成績抜群の梅川選手だ。

梅川風子

この三つ巴に伊東温泉をホームバンクにしている鈴木選手がどう挑んでいくか。それらが争っている隙を石井寛子選手や柳原選手、大久保選手がどうやって突いてくるか。こちらも楽しみな一戦である。ガールズグランプリを見据えた本気の戦い。

男子も女子も年末に向けての戦いはここから本格的に動き出す。見逃せない4日間を是非とも楽しんでいただきたい。

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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