競輪コラム

【大会展望】グランプリ出場を賭けた最終最後の戦い 朝日新聞社杯 競輪祭(G1)

第63回『朝日新聞社杯 競輪祭(G1)』@小倉競輪 グランプリ出場を賭けた最終最後の戦いが始まる

1948年(昭和23年)11月20日(土)、日本で初めての競輪がおこなわれた地、小倉競輪場。その3年後の1951年(昭和26年)、競輪発祥3周年記念として同地で第1回『全国競輪祭』が開催された。

当時は各地で“競輪祭”の名を冠した大会がおこなわれていたが、通産省(今の経産省)のお達しにより、“競輪祭”の名を使ったレースをおこなって良いのは小倉競輪場のみと定められたのである。

競輪発祥5周年記念として第2回『全国競輪祭』が1953年(昭和28年)に開催。同7周年記念として1955年(昭和30年)に第3回、同10周年記念として1958年(昭和33年)に第4回、同15周年記念として1963年(昭和38年)に第5回大会が開催され、翌1964年(昭和39年)の第6回大会より『競輪祭』と名を改め、以後、毎年おこなわれてきた、

今年のKEIRINグランプリ2021出場決定の選手

63回目となる今年も11月18日(木)から23日(火・祝)の日程で小倉競輪場にて開催される、競輪界最大のお祭り。優勝者には「競輪王」の称号とGP出場権が与えられる。また、今節の獲得賞金をもって残りのGP出場枠も決まるため、年末の『KEIRINグランプリ2021』出場を賭けた最後の戦いとなる。

すべての出場選手が来年のS級S班入りを目指す最終最後の戦いがアツくならないわけがない! 予選、特選、準決、そして決勝……すべてのレースに刮目せよ!!

すでに5名が決まっているGP出場枠残り4枠をかけた熱き戦い!

今年開催のG1で勝ってGP出場権を獲得しているのは、2月開催の『全日本選抜競輪』で優勝した郡司浩平選手(SS・神奈川・99期)、5月開催の『日本選手権競輪』で優勝した松浦悠士選手(SS・広島・98期)、6月の『高松宮記念杯競輪』で優勝した宿口陽一選手(S1・埼玉・91期)、8月の『オールスター競輪』で優勝した古性優作選手(S1・大阪・100期)、そして10月の『寛仁親王牌』で優勝した平原康多選手(SS・埼玉・87期)の5名である。

残りは4枠。「競輪王」が1枠を獲得するので、獲得賞金額で決まる残りは3枠。11月11日現在(以下、同様)の賞金ランキング8位の山口拳矢選手(S2・岐阜・117期)、10位の浅井康太選手(S1・三重・90期)、11位の吉田拓矢選手(S1・茨城・107期)辺りが当落線上にいる。

地区ごとの有力選手を紹介

果たして誰がGP出場枠を獲得するのか。地区ごとに有力選手を見ていこう。

まずは北日本勢。佐藤慎太郎選手(SS・福島・78期)は獲得賞金ランキング7位、守澤太志選手(SS・秋田・96期)は6位で金額的にも当確ラインにいる。問題は新田祐大選手(SS・福島・90期)だ。

10月の親王牌でグランドスラム達成を期待されながら、決勝で斜行して失格となってしまった。賞金ランキング50位にも入っていないため、競輪祭優勝しかGP出場の道は残されていない。佐藤選手と守澤選手が後ろで仕事してくれて、前を新山響平選手(S1・青森・107期)がやってくれるといった決勝になれば、かなり優勝に近づくが、9月の『共同通信社杯(G2)』、10月の親王牌とビッグ連続優出している新山選手自身もGP出場を目指す優勝候補の一角。そのような並びになっても、新田選手が簡単に勝てる状況ではなくなっている。

宮杯を取った宿口選手と親王牌を取った平原選手がいる関東地区はかなり強力。当落線上にいる吉田選手が勝つか賞金でGPに乗ってくれたら、年末は盤石な布陣となるだろう。親王牌で調子の良かった諸橋愛選手(S1・新潟・79期)も彼らに乗れば決勝進出、そして優勝も十分に可能性がある。

郡司選手が率いる南関勢……とはいえ、共同通信社杯で決勝8着、親王牌では準決敗退してしまった郡司選手の調子は決して良くない。どこまで戻しているだろうか。ただ今年、南関に深谷知広選手(S1・静岡・96期)が移籍したのはかなり大きい。今節も他の追随を許さないカマシ先行を連日見せてくれるだろう。その上で決勝に残り、ナショナルチームで鍛えられている松井宏佑選手(S1・神奈川・113期)が前をやってくれて、後ろに郡司選手、そしてベテランの和田健太郎選手(SS・千葉・87期)も付いてくれたら、深谷選手が一気に優勝候補へ躍り出るだろう。

その深谷選手が抜けた中部で一気にスターへと駆け上ったのが山口選手。地元岐阜での共同通信社杯を取って、ビッグレース初優勝を飾り、GP出場が見えてきている。ただし、その後は周囲の期待に応えるレースができておらず、競輪祭で暴れまくるしかない。11月上旬の四日市記念で好成績を残し、当落線上へと上がってきた浅井選手との好連係が見られれば、どちらかが優勝、どちらかが獲得賞金でのGPもあり得るのだが、さていかに。

近畿勢といえば、腰椎を痛めて共同通信社杯と親王牌を病欠した脇本雄太選手(SS・福井・94期)が欠場となってしまったのは残念だが、同県の寺崎浩平選手(S1・福井・117期)に野原雅也選手(S1・福井・115期)、オールスターを取った古性選手や近況調子が良い東口善朋選手(S1・和歌山・85期)もいるので、優勝候補の一角であるのは間違いない。

中国地区で心配なのは松浦悠士選手(SS・広島・98期)。今年のダービーキングであり、『サマーナイトフェスティバル(G2)』でも優勝して、獲得賞金ランキングでぶっちぎりの1位であるのにも関わらず、近況は思うように勝てていない。対してゴールデンコンビの一角、清水裕友選手(SS・山口・105期)は10月末の地元防府記念を4連覇して調子は上々。賞金でのGP出場はほぼ当確だが、本人はタイトルを取っての出場にこだわっているため、松浦選手の走りが非常に重要だ。町田太我選手(S2・広島・117期)辺りが覚醒してくれれば、話は別なのだが。

賞金でのGP出場は難しい状況の四国勢。ただ、今年の活躍が光っている太田竜馬選手(S1・徳島・109期)や小倉竜二選手(S1・徳島・77期)に若手有望株の石原颯選手(S2・香川・117期)が絡んでくれば、優勝も夢ではない。

最後に九州勢だが、今年半ばから調子を一気に上げてきた中川誠一郎選手(S1・熊本・85期)や近況調子の良い山田庸平選手(S1・佐賀・94期)にとって、山崎賢人選手(S1・長崎・111期)の欠場はかなり痛いだろう。それでも中川選手の自在な脚なら一発逆転、優勝でのGP出場も十分に狙える。地元地区だけに奮闘に期待したい。

男子だけじゃない! 女子も年末出場を賭ける!ガールズグランプリトライアルレースの熱き戦い!!

競輪祭シリーズの前半3日間はガールズケイリンの大一番もおこなわれる。そう、年末の『ガールズグランプリ2021』への出場を賭けた「トライアルレース」が今年も開催。

1月から8月までの平均競走得点上位14名に東京五輪自転車競技トラック種目代表選手とナショナルAチーム所属の選手、残りは獲得賞金額上位者から選ばれた合計28名がA「トパーズ」、B「アメジスト」の2グループに分けられ、2日間の予選、そして決勝で争われる。

それぞれのグループ優勝者2名にはグランプリ出場権が与えられ、グランプリ出場の残り5枠はこのトライアルレースが終わった時点の獲得賞金額上位者から選ばれることになる。

グループAの有力選手としては五輪後、確実に勝ちを積み重ねてきている小林優香選手(福岡・106期)。欠場となってしまった太田りゆ選手(埼玉・112期)の思いも乗せて、ナショナルチームの強さを見せてほしい。

そこに待ったをかけるのはここまでに71勝し、23Vと圧倒的な強さを誇る石井寛子選手(東京・104期)だ。賞金ランキングトップでグランプリ出場はほぼ手中に収めているが、勝って出場したいはず。一方、昨年はトライアル前にグランプリ当確していた高木真備選手(東京・106期)がランキング6位という当落線上で小倉へやってくる。近況の成績を見ても、優勝候補の一角であるのは間違いない。

同じくランキング当落線上にいるのは7位の鈴木美教選手(静岡・112期)。年末の舞台が地元だけに、なんとしても決勝進出して賞金を稼ぎ、できれば優勝を目指して挑むはずだ。

対してグループBの優勝候補筆頭は、グランプリ3連覇中で今年、4連覇へ挑む児玉碧衣選手(福岡・108期)。5月のコレクションで4着、7月のフェスティバルでまさかの決勝進出を逃したことで心機一転したのか、後方からの捲り一辺倒ではなく、位置取りを考えたレース運びをするようになった。結果、今年の後半は連勝に次ぐ連勝。この調子を年末まで持続すべく、賞金でのグランプリ出場は確実ながら、優勝を狙ってくるだろう。

その児玉選手の妹弟子であり、昨年に続いて2年連続のトライアル出場となった尾方真生選手(福岡・118期)は今年、優勝候補の一角として臨む。児玉選手もうかうかしていられない強さだ。

他にもグループBにはガールズケイリン初代女王の小林莉子選手(東京・102期)や通算300勝を達成して勢いに乗っている尾崎睦選手(神奈川・108期)、地元グランプリ出場に気合い十分な久米詩選手(静岡・116期)など、強豪揃い。

選手が増えて層が厚くなったガールズケイリン。どちらのグループも、誰が優勝してもおかしくないメンバーが揃っているだけに、過去にないほどアツい戦いがくり広げられるのは確実だ。

男子も女子も年末の大勝負に参戦するための最終最後の決戦であり、ファンにとっては今年最大で最高に盛り上がれるお祭り。それが競輪祭。存分に楽しみましょう!

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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