競輪コラム

ヤンググランプリとは?選考基準や歴史を徹底解説!

プロ野球であれば「新人王」、Jリーグであれば「ベストヤングプレーヤー賞」などといった、年間を通じて「HERO」と認められた若手ナンバーワン選手に与えられる称号がある。競輪ではその称号を、年末に行われるたったひとつのレースで奪い合う。

それが『ヤンググランプリ』である。

始まりは今から26年前の1995年(平成7年)。『KEIRINグランプリ』の前座レースとして、デビュー5年未満の平均競走得点上位9名の若手による一発勝負で行われた。金古将人が優勝し、賞金1,500万円を獲得。ただし、このレースは同年1月に起きた阪神・淡路大震災の復興支援競輪だったこともあり、翌年以降は開催されなかった。

そもそも輪界にはデビュー3年未満の若手ナンバーワンを決める大会として『全日本新人王戦』というものが存在していた。『競輪祭』シリーズの一環として1963年(昭和38年)より開催(最初の4回は『新鋭王座戦』という名称であった)。当初は前半の3日間が「新人王戦」トーナメント、後半の3日間が「競輪王戦」トーナメントという日程で、新人王戦優勝者には競輪王戦への出場資格が与えられたのである。

その後、日程や出場条件など紆余曲折を経て、1999年(平成11年)より選抜された若手9選手による単発競走になる。さらに2001年(平成13年)の番組制度改革にて競輪祭シリーズから外れ、毎年12月28日から3日間の日程で開催される年末最後の競輪開催「グランプリシリーズ」の2日目、12月29日の最終レースで開催されることになった。そこで『ヤンググランプリ』の名称が復活し、今に至る。

新人王戦がなくなってから、若手選手の登竜門としてファンの間に定着している新人の実力日本一決定戦はただひとつ。

それが『ヤンググランプリ』である。

1995年(平成7年)の大会は除き、2001年(平成13年)の大会を第1回として、今年で第21回目となる『ヤンググランプリ』は12月29日(水)に行われる。

格付けはG2。優勝賞金は344万円で副賞を含めると500万円を超える。他のG2と比べると少なく、G3程度の賞金額だが、若手の時にしか得られない名誉がそこにはある。

舞台となるのは静岡競輪場。出場資格はまず「開催当年から数えて2年以内にデビューした男子選手」であること。今年でいうと115期、117期、119期が該当する。選考期間は当年1月から9月。当年デビューの場合はルーキーシリーズを含まない7月から9月のみとなる(今年は119期がこの対象)。最低出走回数は36回(当年デビューの場合は12回)。なお、KEIRINグランプリ有資格者は除かれる(補欠選手は含まず)。

以上の資格を有する選手の中から、以下の条件に当てはまる9選手が選ばれるのである。

①開催時S級在籍で、平均競走得点上位者
②夏季オリンピック自転車競技トラック種目代表選手

これらで9枠が埋まらなければ……

③開催時A級在籍で、平均競走得点上位者

から選ばれるのだが、近年の若手は成績優秀な選手が多いので、S級だけで枠は埋まるであろう。過去にはどのような選手が若手ナンバーワンを目指してもがき合ったのだろうか。過去5年のレースを振り返ってみよう。

2016年(平成28年)、舞台は立川競輪場。周回は⑥小笹隼人(S2・京都・105期)、③畑段嵐士(S2・京都・105期)、⑧取鳥雄吾(S2・岡山・107期)、⑦鈴木竜士(S2・茨城・107期)、⑨新山響平(S2・青森・107期)、⑤野口大誠(S1・熊本・105期)、①吉田拓矢(S2・茨城・107期)、②渡邉雄太(S1・静岡・105期)、④神田龍(S2・三重・105期)の並びで全員単騎戦。赤板ホームから新山が動き出したところに合わせた取鳥がそのまま前を取る。打鐘で外並走していた新山が畑段に当てられて落車転倒してしまう。最終2角から畑段が捲り上げるも小笹の外で一杯になっている間に鈴木が逃げる取鳥の番手から発進し、畑段を捌いた小笹が続く。その内を突く渡邉。外から飛んでくる吉田。2車のもがき合いを制したのは渡邉だった。2着小笹、3着鈴木で三連単②-⑥-⑦は、なんと40万6,260円のビッグ配当となった。

※選手の班級、府県はレース開催時のもの。以下同様

2017年(平成29年)、舞台は平塚競輪場。号砲で飛び出した③新山響平(S1・青森・107期)がSを取り、⑤取鳥雄吾(S1・岡山・107期)、⑧山岸佳太(S2・茨城・107期)、①太田竜馬(S2・徳島・109期)-⑨小川真太郎(S2・徳島・107期)、⑦吉田拓矢(S1・茨城・107期)-②鈴木竜士(S1・茨城・107期)、⑥竹内翼(S2・広島・109期)、④堀内俊介(S2・神奈川・107期)の並びで周回。青板4角から吉田が仕掛けると合わせて新山も踏んで誘導を降ろす。それでも吉田が叩いて先頭に立ち、打鐘。最終ホームで竹内が外から上がって来ようとしたが吉田がペースアップで届かず。2角から太田が捲ったところを鈴木がけん制しながら吉田の内へ。外は太田、内は鈴木の直線伸び比べで勝ったのは鈴木だった。2着太田、鈴木のさらに内へ切り込んでいた堀内が3着に。三連単②-①-④で7万4,140円の大穴配当。

2018年(平成30年)、舞台は静岡競輪場。スタートで行った⑨島川将貴(S2・徳島・109貴)が⑤太田竜馬(S1・徳島・109期)を迎え入れて、⑤太田-⑨島川の徳島勢が前団を形成。続いて②南潤(S2・和歌山・111期)単騎、③山崎賢人(S2・長崎・111期)単騎、④竹内翼(S2・広島・109期)-⑥佐伯辰哉(S2・広島・109期)の広島勢、⑦松本貴治(S2・愛媛・111期)-①佐々木豪(S2・愛媛・109期)-⑧門田凌(S2・愛媛・111期)の愛媛勢が後団で周回を重ねる。青板3角から動き出そうとした松本に竹内が合わせて前へ出る。赤板1角でそこからさらに前に出た松本が打鐘でペースアップ。追う南に最終バックで合わせて出て行く佐々木。その後ろから捲り上げてくる太田。松本がタレた前で並ぶ3車がゴールでハンドルを投げ合った結果、優勝は太田。2着が南で3着佐々木に。三連単⑤-②-①、1万3,610円の万車決着となった。

2019年(令和元年)、舞台は立川競輪場。号砲で好枠から踏み込んだ①南潤(S1・和歌山・111期)がSを取り、以下は③松本貴治(S1・愛媛・111期)、⑤森田優弥(S2・埼玉・113期)、④藤根俊貴(S2・岩手・113期)、②野口裕史(S2・千葉・111期)、⑨松井宏佑(S2・神奈川・113期)、⑥上田尭弥(S2・熊本・113期)、⑧河合佑弥(S2・東京・113期)、⑦宮本隼輔(S2・山口・113期)の並びで全員単騎戦。青板最終コーナーから上がって行った河合が赤板1コーナーで前に出る。南が車間を切って後続の様子見をしていたところ、野口が踏み上げるのに合わせて森田も続いて打鐘となる。最終バックでぶっちぎる野口。そのまま先頭で直線へ。なんとか追いついた森田だったが、外から松本が一気の強襲でそのまま差し切り、ゴール。2着は残した森田、内から上田が3着に届いたが失格となり、松井が3着に。三連単③-⑤-⑨、9,200円の高配当であった。

2020年(令和2年)、舞台は平塚競輪場。スタート争いを制したのは平塚がホームバンクで一番人気の①松井宏佑(S1・神奈川・113期)単騎。続く③宮本隼輔(S1・山口・113期)単騎、⑧小原佑太(S2・青森・115期)-②高橋晋也(S2・福島・115期)が東北勢、⑤坂井洋(S2・栃木・115期)-④小林泰正(S1・群馬・113期)の北関東勢とは別線選択の⑦黒沢征治(S1・埼玉・113期)-⑨森田優弥(S1・埼玉・113期)同県同期コンビに、最後方が⑥河合佑弥(S1・東京・113期)単騎という並びに。青板バックから動き出したのは黒沢-森田。そのままゆっくりと上昇し、赤板2角から前に出ようとしたところを外から坂井が叩いて打鐘。そこを一気にカマしていった小原がハイピッチのまま、残り1周となる。高橋と共に後続を引き離すが、バックで飛んで来たのは松井だった。最終コーナーから直線で捲り切ると、そのままフィニッシュ。付いてきた宮本が2着に入り、さらに外から追っていた森田が3着に滑り込んだ。三連単①-②-⑨は2番人気の2,210円。ヤングでは珍しい本命サイドの決着になったのであった。

普段は前でベテランを引っ張る強力な機動型トップ選手が一堂に会し、若さ溢れる脚力を惜しげもなく使ってもがきまくる。全力を出し切った先にあるのは、若手ナンバーワンという「HERO」の座。一生に一度しか獲れないその称号を遮二無二奪い合う、若手選手だけの祭り。

それが『ヤンググランプリ』である。

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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